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指標解説

NOIとキャッシュフローの違い|初心者が間違えるポイントを解説

NOI(純営業収益)とCF(キャッシュフロー)は似て非なる指標です。何が違うのか・どちらをいつ使うのかを、具体的な計算例とともに初心者向けに解説します。

「NOIが120万円だから毎年120万円の利益がある」——これは間違いです。NOIとCFは別の概念であり、NOIがプラスでもCFがマイナスになることがあります。この違いを理解しないと、収支計算の根本が狂います。

NOI(純営業収益)とは

NOI(Net Operating Income)は、賃料収入から運営にかかる費用(OPEx)を引いた「物件の純収益」です。融資(ローン返済)の影響を含みません。

NOI = GPI(年間満室収入) × (1 − 空室率) − OPEx(運営費)

NOIは「物件自体の稼ぐ力」を示す指標です。

融資条件(金利・期間・借入額)に影響されないため、異なる融資条件の物件を比較したり、ローンなしの場合の収益性(FCR)を評価するのに使います。

CF(キャッシュフロー)とは

CF(Cash Flow)は、NOIからローン返済額(ADS:年間元利返済額)を引いた「手元に残るお金」です。

CF = NOI − ADS(年間元利返済額)

CFは「実際に手元に残るお金」を示す指標です。

毎月の生活や次の投資の原資となるのはCFです。

NOIとCFの違いを数字で確認する

前提:
GPI:        120万円(月10万円 × 12ヶ月)
空室率:      5%
OPEx:       24万円(GPI の20%)
ADS(返済): 80万円/年(借入2,000万円・2.5%・30年)

計算:

NOI = 120万円 × (1 − 5%) − 24万円 = 114万円 − 24万円 = 90万円

CF  = NOI − ADS = 90万円 − 80万円 = +10万円/年(月+8,300円)

同じ物件でNOI 90万円、CF 10万円。「NOIが90万円ある」は「毎年90万円手元に残る」を意味しません。

⚠ 「NOIがプラス」≠「手元にお金が残る」

NOIがプラスでも、ローン返済(ADS)が大きければCFはマイナスになります。特に「高利回りだがCFがギリギリ」の物件はNOIベースの説明がされることがあります。必ずCFまで計算することが重要です。

どちらをいつ使うか

目的使う指標理由
物件の収益性を評価するNOI / FCRローンに影響されない純粋な収益力を見る
返済余力を評価するDSCR(NOI÷ADS)ローン返済への余裕度を見る
手元に残るお金を確認するCF毎月の実際のキャッシュを確認する
自己資金の効率を評価するCCR(CF÷自己資金)自己資金に対するリターンを見る
空室耐性を評価するBER(ADS÷GPI)どの程度の空室まで耐えられるかを見る
NOIだけで判断(誤り)

NOI: 90万円/年
「90万円の利益!」と判断
→ ADS(ローン返済)を考慮していない
→ 実際のCF: +10万円/年
→ 空室1ヶ月で赤字転落する水準

NOIとCFの両方で判断(正確)

NOI: 90万円/年(物件の収益力)
ADS: 80万円/年(ローン返済)
CF: +10万円/年(手元に残る額)
DSCR: 1.13(やや低め)
→ CFが少なく、余裕が小さいと認識

よくある混同パターン

混同1:「表面利回りがそのまま収益になる」

表面利回り8%の物件で「毎年160万円の収益(物件2,000万円)」と思うのは間違いです。

GPI(表面利回り8%): 160万円
NOI(OPEx・空室引き後): 約120万円
CF(ADS引き後): 約30〜40万円

手元に残るのは160万円ではなく30〜40万円程度です。

混同2:「NOIが黒字だからCFも黒字」

NOIはローン返済前の数字です。ローンが大きい物件では、NOI 100万円でもADS 110万円で年間CF −10万円になります。

混同3:「CFが小さくても節税効果があるから良い」

減価償却を利用した節税で「帳簿上の赤字」をつくる手法がありますが、現金収支(CF)と税務上の損益は別の話です。CFがマイナスの物件は現金が毎年流出しており、税の節約分を上回るリスクがあります。

収支の流れを全体で把握する

GPI(満室時収入)
  − 空室損失
= EGI(実効総収入)
  − OPEx(運営費:管理費・修繕費・固定資産税等)
= NOI(純営業収益)← ここまでが物件の稼ぐ力
  − ADS(年間元利返済額)← ここからが融資の影響
= CF(キャッシュフロー)← 手元に残るお金

FCR = NOI ÷ 物件価格(ローン前の収益率) DSCR = NOI ÷ ADS(返済余力の指標) CCR = CF ÷ 自己資金(自己資金効率)

NOI・CF・DSCR・FCRを一度に計算する

物件情報を入力するだけで、NOIからCF・DSCR・FCR・CCRまでを自動計算。収支の全体像を一画面で把握できます。

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まとめ

  • NOI = GPI × (1−空室率) − OPEx。物件の純収益。融資の影響なし
  • CF = NOI − ADS。手元に実際に残るお金。融資を含む
  • NOIがプラスでもCFはマイナスになり得る
  • 投資判断にはNOI(FCR・DSCR)とCF(CCR)の両方が必要
  • 「表面利回り ≠ NOI ≠ CF」の3段階の違いを理解する

関連記事:GPI・EGI・NOIの違い / DSCRとBERの違い / キャッシュフローとは?

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