不動産投資分析のpropilar
基礎知識

REITと現物不動産投資の違い|どちらを選ぶべきか

REITと現物不動産投資を比較。流動性・レバレッジ・管理手間・税制・インカムゲインとキャピタルゲインの観点から、それぞれのメリット・デメリットと向いている人を解説します。

「不動産投資を始めたい」と思ったとき、REIT(不動産投資信託)と現物不動産投資のどちらを選ぶかは重要な選択です。REITは少額・手軽に不動産に投資できる金融商品であり、現物不動産はレバレッジをかけて実物資産を保有する投資です。それぞれの特性を正しく理解した上で、自分の目的・状況に合った選択をすることが大切です。

REITとは

REIT(Real Estate Investment Trust:不動産投資信託)は、多くの投資家から集めた資金で不動産を取得・運用し、その収益を分配する金融商品です。日本ではJ-REITとして東京証券取引所に上場しており、株式と同様に証券口座から売買できます。

REITの主な特徴

  • 少額から投資可能:数万円〜数十万円から購入できる
  • 分散投資:複数の不動産(オフィス・商業施設・住宅・物流施設等)に間接的に投資できる
  • 分配金:賃料収入をもとにした分配金が年2回程度支払われる
  • 高流動性:証券取引所で売買できるため換金しやすい
  • 管理不要:プロの運用会社が物件管理を行うため、投資家は管理業務を負わない

REITの利回り目安

J-REITの分配金利回りは概ね3〜6%程度(時価によって変動)です。ただし、これは株価(口座価格)に対する利回りであり、不動産投資の表面利回りとは計算方法が異なります。

現物不動産投資とは

現物不動産投資は、土地・建物を直接購入し、賃貸収入や売却益を得る投資です。一般的に金融機関からの融資(レバレッジ)を活用して自己資金以上の資産を取得します。

現物不動産の主な特徴

  • レバレッジ効果:自己資金の数倍〜数十倍の物件を取得できる
  • 実物資産:インフレに対して資産価値が保たれやすい
  • 節税効果:減価償却費の活用で所得税を抑えられる場合がある
  • 管理が必要:管理会社に委託しても、オーナーとしての意思決定が必要
  • 流動性が低い:売却に時間がかかり、価格も交渉次第

REITと現物不動産の比較

比較項目REIT現物不動産
最低投資額数万円〜自己資金数百万円〜
流動性高い(即日売買可能)低い(売却に数ヶ月〜)
レバレッジなし(信用取引を除く)あり(融資活用)
管理手間ほぼなしあり(意思決定が必要)
分散投資容易(複数物件)難しい(物件数が限られる)
節税効果限定的大きい(減価償却等)
インフレ対応間接的直接的(実物資産)
価格変動リスク株式と同様に変動地域・物件次第
収益の種類分配金(インカム)家賃収入 + 売却益

ℹ REITは不動産と株式の中間

REITは不動産の収益性と株式の流動性を組み合わせた商品ですが、株式市場の影響を受けて価格が変動します。2020年のコロナショック時にはJ-REIT指数が急落しました。不動産への投資と言いながら、短期的には株式市場のボラティリティにさらされる点に注意が必要です。

REITのメリットとデメリット

メリット

少額・分散・手間なしがREITの最大の強みです。数万円から投資でき、1つのREITを保有するだけで数十〜数百件の不動産に分散投資できます。証券口座から売買できるため、必要なときにすぐに換金できます。

また、プロが運用するため、物件選定・管理・売買のすべてを専門家に任せられます。副業として不動産投資に時間を使えない投資家にとっては大きなメリットです。

デメリット

レバレッジが効かないことが最大のデメリットです。現物不動産では自己資金2,000万円で1億円の物件を取得できますが、REITでは2,000万円の投資に対するリターンしか得られません。

また、株式市場の影響を受けるため、不動産市場が安定していても金融ショック時には価格が大きく下がることがあります。

現物不動産のメリットとデメリット

メリット

レバレッジによる資産形成力が最大の強みです。自己資金1,000万円で5,000万円の物件を取得し、毎月のキャッシュフローを得ながら資産を形成できます。

また、節税効果も現物不動産特有のメリットです。建物の減価償却費を不動産所得の経費として計上することで、給与所得との損益通算が可能になります。

実物資産としての安心感も現物不動産の特徴です。インフレ時に地価や賃料が上昇すれば資産価値も増加します。

デメリット

流動性の低さが最大の課題です。売却したいと思っても、適切な買い手を見つけるまでに数ヶ月〜1年かかるケースもあります。

管理の手間もあります。管理会社に委託していても、大規模修繕・入居者トラブル・融資の更新など、オーナーとしての判断が定期的に必要です。

集中リスクも無視できません。1〜2棟しか保有していない場合、物件が集中しているエリアで人口減少や自然災害が起きた場合の影響が大きくなります。

REIT投資家の場合

自己資金500万円をJ-REITに投資。分配金利回り4%として年間20万円の分配金を受け取る。証券口座から簡単に管理でき、管理業務なし。ただし500万円に対するリターンのみ。

現物不動産投資家の場合

自己資金500万円 + 融資2,000万円で2,500万円の物件を取得。表面利回り7%として年間175万円の家賃収入、ローン返済・諸費用を差し引いてキャッシュフロー50万円/年。管理業務は委託だが意思決定は必要。

REITが向く人

  • 少額から始めたい(投資資金が数十万円〜数百万円)
  • 管理の手間をかけたくない(本業が忙しい)
  • 流動性を重視したい(必要なときにすぐ換金したい)
  • 分散投資を重視したい
  • 不動産を体験してみたい(現物投資の前のステップとして)

ℹ REITでの間接体験

現物不動産投資に踏み切る前に、REITで不動産市場・分配金・価格変動を体験することは有意義です。ただし、REITと現物不動産は性質が異なるため、「REITで慣れた」から「現物も同じ感覚でいい」という判断は危険です。

現物不動産が向く人

  • レバレッジを活用した資産形成がしたい
  • 節税効果を求めている(高所得者)
  • 長期保有で安定収益を積み上げたい
  • ある程度の自己資金(数百万円以上)がある
  • ローン審査に通る属性(年収・勤め先・信用力)がある

組み合わせの考え方

REITと現物不動産は排他的な選択ではなく、組み合わせて活用することもできます

【組み合わせ例】

フェーズ1:自己資金が少ない段階
→ REITで少額投資しながら不動産市場を学ぶ
→ 自己資金を貯めつつ、融資に通る属性を整える

フェーズ2:自己資金が増えた段階
→ 現物不動産で1棟目を取得
→ REITはそのまま継続保有(流動性の高い資産として)

フェーズ3:複数物件を保有した段階
→ 現物不動産をメインの資産形成手段として活用
→ REITは流動性確保と分散の観点で保有継続

現物不動産の収益をシミュレーションする

Propilarでは融資条件・賃料・諸経費を設定して、現物不動産投資の実際のキャッシュフローを計算できます。REITとの比較検討にご活用ください。

現物不動産の収益をシミュレーションする

まとめ

  • REITは少額・高流動性・管理不要が特徴。分配金利回り3〜6%程度
  • 現物不動産はレバレッジ・節税・実物資産が特徴。管理業務と流動性の低さが課題
  • REITが向くのは少額・手間なし・流動性重視の投資家
  • 現物不動産が向くのはレバレッジ・節税・資産形成重視で属性と自己資金がある投資家
  • 両者を組み合わせることで流動性と資産形成力のバランスを取ることもできる
  • どちらが優れているかではなく、自分の目的・資金・時間に合った選択が重要

関連記事:レバレッジ効果とは / キャッシュフローとは / 不動産投資の節税効果と減価償却 / 不動産投資の始め方

この分析、手計算でやりますか?

Propilarなら表面利回り・実質利回り・キャッシュフロー・DSCRを数秒でシミュレーションできます。

この条件でキャッシュフローを計算する

関連記事